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                 『彩雲』

 

ある森に囲まれた小さな町

そこには歌うことが大好きな少年が住んでいました

その少年は、いつものように誰もいない森の中で歌っていると一匹の狐に出会いました

 

キ「きれいな歌声だね」

少「…!君は、いったい?」

キ「僕はこの森に住んでるんだ。君はいつもここで歌っているね」

少「歌うことが大好きなんだ。この森は気持ちよくっていつも来てしまうんだ」

キ「ねぇ、もっと歌ってよ」

 

少年が歌うと狐は楽しそうに踊りだしました

この日から毎日森の中で、仲良く歌ったり踊ったり、時のは喧嘩をしたりして楽しく遊んでいました

 

 

そんな話をしていると、森の奥が騒がしくなりました

遠くでは赤い火が揺らいでいます

原因は山火事

森はざわめき、動物たちは逃げまどいました

 

 

大好きな森が燃えなくなって行くのを見て、少年の瞳からは涙が溢れ出ます

すると火を消すかのように雨が降りだしました

森はなくなった

 

『失えし 想いよ 時として 甦る

彩雲の 虹超えて 野風 玉響と』

 

 

すると、雨は徐々にやみ雲の隙間から光が射してきました

空には、今までに見たことのない七色に光る雲が浮かんでいました

 

 

 

                ~おわり~

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